現役看護師から聞きました職場の悩みと主な転職の理由
『2,051円』
これは令和2年の看護師平均時給です。
高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれですが、月収34万円/平均年収492万円(※ボーナス含む)という数字は、他業種の女性に比べて約1.3~1.5倍の給料待遇を受けていると言えます。
この数字がひとり歩きしてしまい、世間では看護師が「高給取り」「安定職」だと認識されています。
確かに、看護師は「圧倒的な売り手市場」であり、「何歳になっても」「どこへ行っても仕事がある」傾向にあります。あくまで他の仕事と比べると、という話です。
しかし「安定して職がある=楽」というわけではありません。
むしろ、看護師はいつの時代も過酷な現場にいるといえるでしょう。
特に、看護師が職場から離れてしまう原因として挙げられるのが以下の3つです。
何故看護師たちが辞めてしまうのか、その要因を一つずつ確認していきましょう。
長時間残業と過酷な勤務シフト
当たり前のように行われている2交代制の夜勤は、平均して16時間にも及ぶ長時間労働です。
さらに、その後の申し送りや引き継ぎ作業による残業が待っていることも日常茶飯事で、慢性的な人手不足のせいで休日に呼び出されることも珍しくありません。
勤務先によっては病棟会を強制され、休日を返上して参加しても手当てが出ず、振替休日もないのです。
夜勤明けでも顔を出さなければいけないところもあるそうです。
厚生労働省は、長時間労働によって脳や心臓疾患のリスクが高まることを懸念しています。
心身ともに疲れきって、職場から離れざるを得なくなった看護師も少なくありません。
看護師の場合、他業種に比べて自分から「この業界で働きたい!」と思って飛び込んでくる人が多いです
「患者のため」という名目で、やりがい搾取の標的にされてしまっています。
避けられない職場でのハラスメント
職場内のハラスメント行為やいじめは日本看護協会からも問題視されており、看護師が職場を離れる理由の上位になっています。
さらに、何らかのハラスメントを受けたことがある看護師は約5割にものぼるとされ、その標的になっているのが30代以下の若手看護師たちです。
病院側が積極的にハラスメント対策に取り組んでいるかというとそうではなく、公然の事実として放置されている現実があります。
ベテラン看護師の中には「私たちも我慢したんだからあなたたちも我慢しろ」という昔気質な考えを持っている人たちが一定数おり、そこから負の連鎖が起きています。
ただでさえストレスがたまりやすい職場で、看護師歴の浅い人たちがそのはけ口にされているのです。
こんな状況下では、離職を考えても仕方がありません。
当たり前のサービス残業、有給休暇が取りにくい
昔からの悪い風習が残っている職場では、サービス残業が常態化しているといいます。
勉強会や研修会など、本来業務時間内にすべきことを業務時間外に回し、任意参加(という名の強制参加)をさせて賃金を発生させない場合もあります。
中には、入職一年目の新人には残業代を一切つけないという病院も。
本来、自由に取得できるはずの有給休暇も取得しにくく、十分に休めない事態に陥っています。